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2004年07月06日
FiLM iNG / Bugge Wesseltoft
オススメの音楽を聞かれて「ブッゲ・ヴェッセルトフト」と答えると、たいていは「マニアックだなー」といった類の反応が返ってくる。英語圏以外の名前は、オリコンやビルボードを根城にしている音楽ファンの方々の耳には奇妙に響くらしい。その点サッカー・ファンは耳が英語圏以外の名前で馴らされているので便利だ。グリエルミンピエトロとか、フランソワ・オマンビイクとか、ピエルルイジ・カシラギとか、イブラヒム・バとか…。 (以上、頭に浮かんだ順)
北欧ジャズに少しでも興味のある人からすれば、「ブッゲ・ヴェッセルトフト」という名はマニアックどころか、メジャー中の大メジャーである。自ら主催するレーベル「Jazzland」を舞台に、「New Conception of Jazz」を旗印として、ジャズとエレクトロニカの有機結合に黙々と取り組んでいる。 (本作を聴く限りでは、すでに完成していると思える)
どことなく知的で近寄りがたい印象のある「北欧ジャズ」 (「北」という字面からくる短絡的な連想のような気もするけど…) において、ブッゲの創り出す間口の広い “Jazz” は確実に聴き手の枠を広げたと思う。ジャズとエレクトロニカがアクロバティックに化学反応を起こすわけではなく、ごく自然に同居している落ち着いたたたずまいがどこまでも心地良い。BGM代わりにサラッと聴き流してもよし、スピーカーの前に陣取ってどっぷりと深く聴き溺れてもよし、あらゆる場面にミラクル・フィットするユティリティ・ジャズ・アルバム。音のすきまがポロリポロリと美しいブッゲのピアノで、蒸し蒸しとうだる夏を乗り切りましょう。
「これが今どきのジャズなの?」
そんなことは私にはわかりませんよ。
★★★★
投稿者 nill : 2004年07月06日 00:39
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