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2004年07月27日

蒲田行進曲を聴く

映画のサントラ盤というのはあまり何度も繰り返し聴いたりはしない。少なくとも私はしない。一回しか聴いてないってのもけっこうある。もちろんひとくちにサントラといっても形式はいろいろで、単なるコンピレイション・アルバムのようなもの(ハリウッド産はこれが多いですね)もあれば、くるり『ジョゼと虎と魚たち』 (2003)とか、バッドリー・ドロウン・ボーイ『About A Boy』 (2002)のように、特定アーティストの作品になっているものもある。ただ、ここで言っているのはもっと純粋なサントラ、映画で使った音楽を寄せ集めて、ときどき台詞まで入れちゃうような、そんなオーソドックスなヤツのことを指しています。

で、そういうサントラは(冒頭に書いたように)あまり何度も聴いたりはしないのですが、まれに傑作にめぐり合うことがあります。そんな名盤サントラをご紹介。

蒲田行進曲

まあ少なくとも私の同世代近辺であればこの映画を知らない人はまずいないでしょう。深作欣二監督,つかこうへい脚本による傑作人情コメディ・ドラマ(82年公開作品)。とにかく笑いあり涙ありのストーリーが単純明快で、複雑な人間模様に翻弄されることなく、ダイレクトな感情移入が可能。風間杜夫松坂慶子もあまり好きではないけど、この映画だけは別だった。

なぜそんな古い映画の話をしているかというと、この映画のサントラ、いまだにときどき聴くのです。そういう気分が周期的にやってきます。たまたま今日がその日で、車を運転しながら聴きました。そして泣きました。

泣けるんですよ、このサントラ。基本的には脚本の流れに沿って音楽を順番に収録しているだけなのだが、もともとのストーリーがシンプルなだけに、音楽を順番に聴いているだけで頭の中に映画ができあがっていきます。三ヶ所に折り込まれるシーン(台詞)の抜粋がまた効果的で、ラストの「階段落ち」に向けてジワジワと気持ちは高ぶり、涙腺は緩む。朝の通勤、すれ違う車にふと目をやれば、30男、むせび泣く。

もちろん映画を観たことがあること、さらに映画を観てそれなりに感動したことが前提条件ではありますが、これぞ正統派サントラの傑作です。オーラスの「蒲田行進曲」がカラッと晴れやかですがすがしい。泣き笑いの大拍手!

★★★★★

投稿者 nill : 2004年07月27日 16:50

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