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2005年04月18日

イールズの電気ショック・ブルーズ (51点)

Eels - Electro-Shock Blues [1998]
Producers: E., Jim Jacobsen, Mickey P., Michael Simpson, The Good, The Bad and The Ugly
Label: Dreamworks
Catalog#: 50052

E」と名乗る男、マーク・オリヴァー・エヴェレットイールズの中心人物、というよりはイールズそのものである。作曲も作詞も編曲もプロデュースも歌もギターもベースもキーボードも自分でこなす。この作品のリリース当時、父親はすでに他界し、母親は末期癌、ヤク中の姉は自殺した。そんな状況の中、「生と死」という重く深いテーマに取り組んだのが本作、ということになっている。本人がそう言っているし、曲名に出てくる単語だけを抜き出しても、「Funeral(葬式)」,「Cancer(癌)」,「Hospital Food(病院食)」など、あからさまである。「死」にまつわるエピソードは良い商売になるので、この作品がメディアで取り上げられる時には当然のごとく「自殺した姉」や「癌の母親」がセットになっている。そんな予備知識をたっぷり仕入れてから E が書いた詞を読んでみると、なるほど考えさせられるフレーズが随所に登場して唸らされることしきり。しかし、私にはそれが重苦しくてしかたない。

そもそも言葉に重きを置きすぎている音楽は嫌いなのだが、この作品に付いてまわる「死」の匂いは、まるで聴き方を強要されているようでたいへん居心地が悪い。実際に曲を聴いてみればわかるが、E はポップ職人並みに器用な男で、楽曲のクウォリティはすこぶる高い。“死ぬ前に最後に立ち寄る街”を歌った#10「Last Stop: This Town」の完成度などはさすがのもの。

そんなに嫌なら余計な情報は無視すれば良いだけの話なのだが、駄目なんだ、洗脳されやすい性質だから。

投稿者 nill : 2005年04月18日 01:24

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