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2004年01月05日

年間ベスト・アルバム 2003

2003年の愛聴盤10選。本当にお世話になりました。



01. 愛のポルターガイスト/小島麻由美
昭和歌謡の毒と華を血肉と化し、とどまるところを知らないパワー・アップぶりで、もはや怖い者なし。カリスマ性さえ垣間見えるのは気のせいだろうか? 演奏陣とのコンビネーションもイイ感じ。#5「ハードバップ」なんてカッコ良すぎですよ。



  

02. Dime Grind Palace/Sex Mob
「Why?とJazz」などというサイト名を冠しているにもかかわらず、10作中唯一のジャズ。よかった、ジャズを選べて(汗)。スティーヴン・バーンスタインのスライド・トランペットが繰り広げるルーズな音空間は、2003年後半の夜の定番でした。構成もコンパクトにまとまっており、パッケージとしても優秀。意味もなくニヤリと口元を歪めたい気持ちになる。

03. Evolve/Ani Difranco
歌自体の魅力もさることながら、アコギとホーンが生々しく絡みつくアンサンブルの艶っぽさはただごとじゃない。恐いくらいの説得力に背筋も凍る。はたしていつまでこのハイ・クウォリティを持続できるか。次作も(超)期待。

04. I WAS THERE, I'M HERE/鈴木祥子
デビュー15周年記念弾き語りライヴ・ツアーをパッケージングした2枚組ライヴ音源(3曲入りボーナス・ディスク付)。その日、その時、その場所にいてしか体験できないはずの楽しげな空間が脳内に広がる。名古屋公演のチケットを取り損ねたことは2003年最大の悔やみ事。


  

05. Live At The Wetlands/Robert Randolph & The Family Band
ランドルフの暴れっぷりは2003年の最重要トピックだった。数多のセッションでさんざん前フリされ、「もっと聴きたいストレス」が沸点に達した頃に、初リーダー作をライヴ盤でド───ン!とリリース。完全に手玉にとられました。アッパーに攻めまくる内容も “痛快” のひとこと。ああ、生で観たい。

06. Summer Sun/Yo La Tengo
ロックでジャズでアンビエント。雑多な音楽を詰め込んだだけの “ゴッタ煮もどき” とは次元の異なるボーダーレスな世界に耳が眩む。静かな高揚感が延々と持続するこの独特のグルーヴ感覚はクセになること必至。

07. 777/クレイジーケンバンド
音楽好きの少年たちはオジサンになってもバンド活動を続けましたとさ。影響を受けた音楽たちをきっちりと吸収し、リスペクトも怠ることなくCKB仕様に仕上げるしたたかさ。色物キャラの陰に見え隠れする磐石の音楽的素養が心憎い。なにより本人たちが楽しそうなのがイイね。


  

08. Want One/Rufus Wainwright
「天才」という形容詞も素直に受け入れたくなる傑作。曲,音,アレンジ,構成、すべてが緻密に計算されていながら、音のベクトルがしっかりと外を向いているのが素晴らしい。#3「ヴィシャス・ワールド」は2003年に聴いた最も美しいバラード。

09. You Gotta Go There to Come Back/Stereophonics
路線もこれまでの延長線上だし、特に新しいことにチャレンジしているわけでもない。多分このアルバムは、音楽シーンにとっても本人たちのキャリアにとっても、たいして重要な作品ではないのだろう。…と頭ではそう思うんだけど、ふと気がつけばすっかりヘヴィ・ローテイションに! だってイイ曲書くもんな。それだけ下地がしっかりしてるってことですね。

10. Demolition/Ryan Adams
実は2002年のリリースだけど、長きにわたって愛聴しました。もともとデモ・トラック&ボツ・テイク集という企画物だけに、曲もアレンジも極めてシンプルかつストレート。普段から変化球やチェンジ・アップばかり聴いていると、たまに来る直球ド真ん中にキリキリ舞いしてしまう。新作 『Rock N Roll』 も現在猛烈聴き込み中。



ジャズでは、ジョン・ゾーン・マサダ結成10周年記念の3タイトルや、復活のアート・アンサンブル・オブ・シカゴ関連、安心品質のカサンドラ・ウイルソン,ワダダ・レオ・スミスあたりを愛聴。藤井郷子の怒涛のリリース・ラッシュも迫力でしたね。10選からは外れたけど、ソウル/R&B関係ではメイシー・グレイ,メアリー・J・ブライジ,エリカ・バドゥといった有名どころの底力感服しました。聴いた瞬間に「年間ベスト当確!」と確信したジェーンズ・アディクションやロバート・ランドルフのスタジオ録音盤は聴き込むほどに熱が冷め、逆にライアン・アダムズやステレオフォニックスのような、正直言って “軽く” 見ていた連中が愛聴盤になる。音楽ってのは聴いてみんことにゃワカランもんだねえ。02年に車通勤になって以来、音楽のほとんどを車の中で聴いているので、どうしてもジャズ勢(特に即興演奏系)は分が悪い。確かに運転しながらジョン・ゾーンを聴いても、心からは楽しめないんだよなあ。2004年もロックに傾倒しそうな予感。

投稿者 nill : 2004年01月05日 02:49

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