2004年12月28日

年間ベスト・アルバム 2004

「大掃除」も終わったことにしたし、「年越し蕎麦」の準備もしたし、残す暮れのイベントといえばあとは「年間ベスト」だけ。夏休みも修学旅行も期末テストもない今の生活、コレをやっておかないと区切りがつかないのだ。


01. 窓に地球/キセル
2004年のピカイチはキセルだった。飄々とした歌を肉付けする練った歌詞と緻密なアレンジ。スキだらけに見せて実は死角なし。宇宙から見た地球にはトカゲが走り、エノラ・ゲイが飛ぶ。うららかで幻想的でありながらどうしようもなく日常的、という離れ業をやってのけた傑作。「C」「C」「C」「D」の4文字だけが唯一の弱点。







02. Ten Paces/The Baker Brothers
時代錯誤もはなはだし過ぎて時間軸をフッ飛ばしてしまった英国産インスト・ジャズ・ファンク集団 ザ・ベイカー・ブラザーズは、おそらく2004年の最多回転賞。つまるところ「好きなコトやったもんが、勝つ」という無骨で逞しい説得力。次作にも期待できるかどうかが最大の不安だ。

03. End of the World Party (Just in Case)/Medeski Martin & Wood
より深く、濃密に、グシャグシャに、が『Combustication』(1998)以降のメデスキ,マーティン&ウッド(MMW)の方向性だったと思うのだけど、今回のMMWはきわめてスッキリと聴きやすい。あり得ない魔球を駆使した後の渾身のストレート。直撃注意。ネットで無料で(合法的に)入手することができる凄まじい量の凄まじいライヴ音源と合わせて考えれば、やはり2004年はMMWの年だった、ということになる。少なくともぼくにとっては。

04. Black Mahogani/Moodymann
05. Black Mahogani II/Moodymann

MMWに引き続き、今年のムーディマンもたいへん耳馴染みがよろしい。ソフトなタッチでジャジィにいたぶる。…などと思ったのも束の間、結局行き先はいつもと同じエロスとカオスの桃源郷だった。「I」「II」セットで聴いていたら、どっちの何曲目を聴いているのか判らなくなり、ついでにどこが終わりかも曖昧になって、何度でもリピートして聴くハメになった。

06. パブロの恋人/小島麻由美
いまのところ小島麻由美に期待を裏切られたことはない。最初は小ぶりな作品に思えたけど、ひとたび首根っこ掴まれてしまえばあとはもうズブズブと…。初期の作品と比べると、力の抜け具合がますます完璧に近づいている。フル・アルバム初の写真ジャケも“らしい”としか言いようがない。

07. Sonic Nurse/Sonic Youth
インディ界の王者 ソニック・ユースがメジャーに殴り込みをかけてから早幾年。雨あられと降り注ぐノイズの絨毯爆撃的アンサンブルは、もはや円熟の域。トンガったまま円熟しちゃうところが凄い。一貫したスタイルを頑なに磨き上げていくその姿勢にはひたすら敬服するしかない。それでいてオヤジギャグなみのタイトル、というところがまたニクい。

08. LION/奥田民生
フィニッシュ・ブローと呼べるような曲がない代わりに、今回は「線路は続かない」,「歯」,「コアラの街」といったギミック的な曲の出来が良いので、全体的にスキのない仕上がりになった。「コアラの街」なんてかなりの奥田民生的名曲だと思うのだけど、どうだろうか。チャーリー・ドレイトンの仕事も気に入った。ちなみにマーク・リボー(g)は「線路は続かない」と「サウンド・オブ・ミュージック」に参加。言われなきゃワカランけど。

09. Power Of Soul: A Tribute To Jimi Hendrix
トリビュートだからってナメちゃいけない。まさかこれほどの愛聴盤になるとは自分でも驚いた。プリンスもブーツィもランドルフも演奏時間が全然足りてねー、と思ったけど、トリビュート作は「制限時間内に持てる個性をパッケージ化するコンテスト」のようなもの。贅沢を言ってはいけない、と考え直した。コンテストの優勝者はアース,ウインド&ファイアで決定。とにかく、何の気兼ねもなくジミ・ヘン・マナーのギターを弾きまくることができるギタリストさん達はとても楽しそうだ。

10. 七曲入/大西ユカリと新世界
丁寧に歌いすぎるのがたまにキズ、な大西ユカリだけど、“昭和歌謡”を単なるスタイルとして取り入れているやっつけミュージシャンとはやはり格が違う。「好きでやってんねん」という気概がしっかりと円盤に刻み込まれている。「七曲入」といいながら、ボーナス・トラック満載、サービス精神満載の全15曲。清々しくて、頼もしい。


2004年の後半はパッタリと新譜を聴かなくなってしまった。bt.etree.orgLive Music Archiveで無料で手に入るライヴ音源が充実しすぎていて、新譜を聴いている余裕がない、というのがその理由。このダウンロード熱はまだ当分続きそう。MMWのツアーの音源が毎日のように手に入るというのは凄いことですよ。インターネット万歳、テーパーさん(ライヴを録音して配布してくれるありがたい方々)にも万々歳、です。

10選から漏れたところでは、ザ・ダーティ・ダズン・ブラス・バンド,チャーリー・ハンター,アニ・ディフランコ,クレイグ・テイボーン,バッドリー・ドローン・ボーイ,ウォズ(ノット・ウォズ)やダニー・ハサウェイのリイシューもの等を愛聴しました。

以上、おしまい。2004年よ、さらば。

投稿者 nill : 01:30 | コメント (0) | トラックバック

2004年11月14日

Music for Chirstmas!

JMB連携TB企画 第27弾/Music for Chirstmas!
に参加してみます。初参加です。お題はクリスマス・ソング… 苦手だ。(笑

苦手だけど、苦手だからこそ、選ぶのは簡単。選択肢があまりないから。

クリスマス・アルバムといえば、たいていはハッピーだったり、ロマンチックだったり、厳かだったりするわけで、そういうクリスマスを過ごした記憶のないぼくにはどうにもこうにもピンとこない。10曲も20曲も聴かされるのはイジメみたいなものです。

ぼくにとってのクリスマス・ソングといえば、十年来この1曲。

If I Should Fall From Grace With Godザ・ポーグス『If I Should Fall From Grace With God』(1988)に収録されている「Fairytale of New York」

酩酊パンク詩人 シェイン・マゴウワンと、今は亡きカースティ・マッコールのデュエットによるバラードです。うじ虫だ、売女だ、と罵り合いながら盛り上げていく中盤以降の展開がここまでキマるのもマゴウワンならでは。聴くたびに涙が蓄積されていく名曲。いずれ溢れ出すでしょう。

アルバム自体も傑作なので、未聴の人は是非。

投稿者 nill : 01:22 | コメント (8) | トラックバック